いつも言うことだが、設計と施工の調節がまたむずかしい。ハウスメーカーの言い分はこうである。「私どもは設計施工が原則で、当社の設計基準に適合しないと、品質管理・引渡し後の保証ができない」。多くのハウスメーカーはこう言い訳をして、設計事務所が設計した住宅は請け負うことを避ける。つまり第三者の検査が入ることを嫌うのが常である。今回Mさんの施工会社は大手ハウスメーカーの下請けをしている工務店である。本心ではハウスメーカーについては実名を原則としているが、この工務店は下請けなので、もし実名を明かすとハウスメーカーからの圧力などで仕事に支障が出る恐れがあることを考慮し、名前は明かせない。
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しかし、よく知られた大手ハウスメーカーの下請けで約年間200棟の施工をし、もちろん自社の受注でも約60棟を施工している。Mさんの仕様は高断熱高気密・全館空調換気システムを採用しているが、この会社はその分野でも古くから経験と実績を重ね、勉強のため社員を海外視察に行かせるほど社員教育も充実している。設計と現場のインスペクションは私が、施工はこの工務店とそれぞれ役割を分担する。設計者である私は、妥協せずに厳しいインスペクションをすることとなった。ハウスメーカーの設計者は現場が始まったらほとんど現場には顔を出さない。いわば設計しっぱなしで、あとは下請け任せで工事担当者もせいぜい現場に出向くのは数回である。これでは、「(設計を外部で行うと)品質管用・引渡し後の保証ができない」という言い分とまったく矛盾していると言わざるをえない。