昭和六〇年、老年人口比率がI〇・三パーセントに達したこの年は、これからの高齢者と住まいにとって意味のある二つの指針が示された年である。中央社会保障制度審議会による建議では、はじめて福祉の概念に住環境が組み入れられた。そこでは、在宅サービスが受けられる小規模な老人向き集合住宅の整備(これがいわゆるケア付住宅であり、狭意の高齢者住宅ということになろう)、住宅と周辺環境の改善、同居や近居への対応などが提言された。
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一方、住宅宅地審議会の答申は、多様な家族型への対応、心身機能の低下に配慮した建築条件の開発と普及、医療・福祉施策との連携、社会参加の促進を提言するとともに、二〇〇〇年に向けての新たな居住水準に高齢者を含むものとした。従来、福祉施策の基盤に住宅が位置づけられず、住宅対策に福祉的視点が乏しいことに根本的問題があったことを考えると、高齢者と住まいへの本格的対応がようやくはじまるのかと期待されたのである。