十年経った今、気が付いてみると、子供の成長とAV、情報機器の普及のせいで、わが家の子供部屋が「王国」に近いものになってしまっている。こういう状況だから、私が子供と接している時間の絶対量はそう多くない。もともとわが家はいつも一緒の仲良し家族では決してないので、皆が好きな映画も、一家そろって見にいったなんてことは子供が幼くて留守番をさせられない頃だけの話で、今はそれぞれが勝手に見にいくし、テレビもビデオもあちこちで別々に見ている。
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(もっとも新しいLDを居間の四〇インチで見たければ、プロ野球ニュースを見たい者の了解を得る必要があるので、たとえば私が「『スパルタカス』のワイド版LDを買ったので、今夜十一時から居間で見る」と言い、その申告で知った誰かがつきあうなんてこともあるが……)このように一緒に暮らしていても家族の接触時間がそうないという問題は、どこの家庭にも多かれ少なかれ生じていることで、家族の中で「個」の存在が強まるという時代の不可避な流れの結果ではなかろうか。つまり私たちは家族がいつも一緒に茶の間にいて夜を過ごし、あまりしゃべらなくても気持ちが通じあうという時代には戻れない。そしてだからこそ、食卓の会話、とくに無駄話の役割が大きくなっているのではないか。子供のほうにも無駄話の機会を求める気持ちはあるようで、『いつかギラギラする日』のような話題作を先に見ると、その話を早くしたいので見ろ見ろとだけ言う。